大阪地方裁判所 昭和58年(わ)1589号 判決
裁判所書記官
井上賀博
本籍
兵庫県姫路市青山一、一四八番地
住居
兵庫県神崎郡香寺町溝口二二五番地の八
会社役員
木村一美
昭和二一年一月一一日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官岩永建保出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月および罰金六、〇〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、兵庫県神崎郡香寺町溝口二二五番地の八に居住するものであるが、自己の所得税を免れようと企て、昭和五六年分の所得金額が三五七、八〇二、五〇〇円で、これに対する申告所得税額が二五〇、七二六、七〇〇円であるのにかかわらず、不動産売買の仲介等による収入を架空人名義の普通預金口座に振込送金させて受領するなどして所得を秘匿した上、昭和五七年三月一〇日、姫路市北条字中道二五〇番地所在姫路税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金は六、五一〇、〇〇〇円で、還付を受ける源泉所得税額が二一、二八九円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税二五〇、七四七、九〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書一〇通
一 収税官吏安井篤作成の脱税額計算書
一 姫路税務署長尾谷忠信作成の所得税額確定申告書謄本
一 収税官吏安井篤作成の脱税額計算書説明資料
一 検察事務官下仲直幸作成の報告書三通
一 収税官吏西川英夫、山本清司(二通)作成の各査察官調査書
一 青木克己(五通)、高馬健治(二通)、平松三次郎(二通)、酒井忠道、武田博(二通)、南泰吉(三通)、比嘉真盛、佐藤致遠(二通)、西谷正夫の検察官に対する各供述調書
一 押収してある役員報酬計算書二枚(昭和五八年押第五二八号の1の1・2)
(法令の適用)
被告人の判示所為は、所得税法第二三八条一項に該当するので所定刑中、懲役刑と罰金刑を併科し、情状によりその罰金額につき同法同条二項を適用したうえ、その刑期および罰金額の範囲内で、被告人を懲役一年六月および罰金六〇〇〇万円に処することとし、懲役刑については刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その執行を猶予し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 柴田秀樹)